今週の農キャラvol.10
こんにちは!今週の農キャラも第10回です!
今日5月21日は、二十四節気で「小満」。日差しが強まって気温が上がり、生き物が勢いよく成長する時期だそうです。
私の家庭菜園の仲間たちも、最近びっくりするスピードで大きくなっています。ズボラ栽培ですが、生命力はすごい、と日々感心するばかり。
さて、今週の農キャラは少し長いめですが、どうぞお付き合いください〜!
集結!
こちらは、有限会社コスモファームさんのベビースピナッチです!

両手をあげて、軽やかに舞う葉っぱのキャラがおりました。かわいい!
ベビースピナッチとは、ほうれん草の赤ちゃん葉っぱ。
ほうれん草はシュウ酸が含まれているので、基本アク抜きや下茹でをした方がいい、という考えが主流ですが、ベビースピナッチは、シュウ酸が少なくえぐみも少ないので洗うだけで食べられます。
彼らの解放感あふれるふるまいは、そうした面倒な調理工程から解放された気分を表しているのかもしれません。(勝手にいうてます。)

ちなみに、裏面には「エコトン」がいました。
エコトンは福岡県の地球温暖化対策のマスコットキャラクターで、ここでは「ふくおかエコ農産物」のシンボルとして。「ふくおかエコ農産物」とは、県が認証する化学農薬・化学肥料の使用量が県基準の 1/2以下で、安心・安全な農産物だそうです。
そして、このベビースピナッチのパッケージには、いろんな立場のキャラが集結していて、エプロンを着た人間もおりました。

おそらく、商品のターゲット層である主婦を意識しているのでは?というデザインです。
野菜や果物などのパッケージには、野菜をモチーフにした農キャラもとい謎のイキモノが印刷されていることがよくありますが、人間がモチーフとなった農キャラやイラストもしばしば見かけます。
赤いエプロンフライパン

続いても、パクチーの袋にいたエプロンを着た人間です。
フライパンの上に乗っているようなので、妖精さんかも?ですが。
パッケージデザインの意図としては、料理をする層・主婦や料理に興味がある女性がターゲットだろう、というオシャレなデザインだと思います。
髪の長さや服装で性別をジャッジするのはよくないですが、おそらく。
ビューティー&ブドウ

こちらは、オーストラリア産の輸入ぶどう、CordomaのBEBOPです。
ぶどうをもったドレスの女性がパッケージを彩っていました。おしゃれです。
特に、説明文や公式サイトに、イラストのモデルや女性向けであることの紹介はなく、ここでの女性の表象はアイキャッチとしての役割が大きいように感じます。
農キャラとジェンダー
基本的にパッケージデザインは、商品の差別化をはかったり、デザイン面から商品価値を伝えたり高めたりして、消費者に選んでもらうためにあるものです。
パッケージにおけるキャラやイラストには、かわいい、かっこいいや、メッセージ性を強く感じる/感じないなどさまざまです。人間がデザインに使われることもよくありますが、それは消費されるモノとして見られる、扱われる対象になるということなので、手放しにかわいいねとは個人的には言えず、気になる対象です。
農林産物のパッケージに女性モチーフのキャラやイラストが現れる際の傾向は、大きく4パターンほどに分けられるのでは、と現時点では考えています。
①主婦・料理をする女性
②ヘルシーさ・健康を謳うもの
③美・キレイさ・女性らしさをイメージさせるもの
④品種名が女性を連想するもので、そのイメージキャラクター
以下、コレクションの中から、いくつか例を紹介します。
①主婦・料理をする女性


エプロンや三角巾をつけている女性。調理は女性がするもの、というステレオタイプ的な考えがあるのかもしれません。
②ヘルシーさ・健康を謳うもの


柿はビールの売り子さんのような女性のキャラ。美と健康のイメージに若い女性が使われています。
生姜には、ヨガをしている女性。生姜が健康のために良い、体を温めるので冷え性の女性におすすめ、というメッセージでしょうか。
③美・キレイさ・女性らしさをイメージさせるもの


チェリーラディッシュは、さくらんぼのように赤い大根です。少しレトロ感がありますが、赤い色はかわいい/女性の色?といったイメージでしょうか。
④品種名が女性を連想するもので、そのイメージキャラクター


農林産物の品種名には、女性の名前が使われていることがよくあります。
また、女性のモチーフに加えてエキゾチックなイメージもまとっているキャラもおり、拙著『農キャラ研究』でも少し触れたバナナのパッケージです。


農林産物に限った話ではないですが、パッケージにおいて、性差によって持たされうるイメージが違っていて、その際、人間の属性は記号として消費されてしまうことが往々にしてあります。
そして、女とは男とはこうあるべきというマイクロアグレッションとなり、無意識的にイメージが再生産され差別や偏見にも繋がっていく、とも考えられるので、見て見ぬふりはしたくないと個人的に思います。
まだサンプル数が少ないので現時点ではパターン分類は仮説ですが、これからどんどん深めていきたい視点です。
農キャラ研究では、キャラを広く捉えていろんなパッケージから農キャラの世界に迫ろうと思っています。キャラと言えなくとも、何か気になるパッケージがあれば、ぜひ情報をお待ちしています!
…といっても、どのくらい農キャラ知っているのですか?と聞いていただくこともあり、少しずつリストを公開していくことにしました。まず手始めに、手持ちのピーマンキャラの世界です。今週中の公開予定!
農キャラ研究に少しでも興味を持っていただいた方は、ぜひチェックお願いします!!
以上、今週の農キャラでした。
それでは、また来週〜!
参考文献:ジェンダー目線の広告観察